リビングチェアー1
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今まで自分にぴったり合う椅子に、出会えなかったと云うお客様からの注文で、製作しました。
楢材を使い、座はクッションの皮張りです。(クッションは専門業者へ、製作を依頼しました。)  
まずは、お客さまとの打合せで出てきた、座り心地や感覚的な大きさなどを、1/1のサイズで形(試作)にします。
何度も部材を付け替えたりするので、安価な材料をネジ止めで組み立てます。
その上で、お客さまに来ていただき、試作の椅子の座りごこちを確かめていただきました。(結果として、4回工房に来ていただき、都合、7脚の試作品を作りました。)
モデルが決定したら、各部の寸法を採寸して図面に起こします。
この段階で、各接合部の仕口を決めていきます。
そしてこの図面から、椅子作りに必要な型板を作っていきます。
臍、臍穴の加工が終了しました。
まだ、四角い状態です。
多くの場合、椅子の臍は傾いていますので加工精度が低いと、強度が下がり見た目も美しく仕上りません。
面加工を終了した部材です。
最終的な肌触りが、この加工で決まるわけです。
肌の触れる部分はもちろん、それ以外でも、全体の印象を柔らかくするため、必要に応じて面加工をします。
(個人的には、きりっとした線が、
柔らかな面で繋がる仕上りが好きです。)
組み立ては、臍が傾いていたりしますので、順序を間違えると組み立てられなくなります。
椅子は組み立て難いものほど、壊れ難いものです。
臍の強度を高めるため、込み栓を併用するようにしています
(接着剤が固まり始めますので、時間との勝負です。)。
完全に接着剤が硬化した後、生地調整(組み立て時の当り傷などを戻してから軽くサンディングする。)をしてからオイルフィニッシュをします。
ゆったりと長時間座る事が目的なので、着座位置が深めになっています。
背骨の曲がりに合わせ、背板の曲線を設定したので、座ったとき、背もたれが背中全面を包み、腰をしっかりホールドして、荷重が一点に集中しない様に設計してあります。
手が触れる事は少ないですが、背板の裏面にも曲面加工をしました。
ほんのちょっとした事で、椅子の印象は大きく変わります。
納品の朝です。
使い込むほどに、良い椅子になっていくでしょう。
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